AKIRA文学のリバイバルブームにのって復刊が相次いでいる。
そんななか「いちばん泣けるAKIRA本」、「家族テーマの自伝」、「メキシコのディープな紀行文」、「マヤ族とウイチョル族、マサテク族が描かれている本」、「幻覚サボテンと幻覚キノコの奥深さを知る本」として待たれていた、2004年に出版された「神の肉テオナナカトル」が2012年11月、ついによみがえった。
この本は世界でも類を見ない「家族再生」の物語だ。
オレの本はほとんどが自伝だが、自分の家族や生い立ちを描いた本はこれだけである。
「家族」や「背中」、「おさない瞳」や「Life is beautiful」などの家族を歌った曲で断片は垣間見られるだろうが、その全体像や心の葛藤があますところなく書かれている。
読者は自分の家族と重ねあわせ、もう一度自分がその家族に生まれた意味を問い直すだろう。
そして今まで見えなかった、もしくは無意識に見ようとしなかった愛に目覚めていく。
ふつう「家族再生」の物語というと、せまい世界に限られるだろうが、この本の舞台はメキシコであり、マヤ族とウイチョル族やマサテク族の叡智に学びながら、あの世とこの世を包括する巨大なスケールの物語だ。
マヤ族やマヤ暦に関することも、「神の肉」を読めば奥深い知識が得られるだろう。
毛糸絵画ネアリカとの出会いやウイチョル族の巡礼もくわしく書いてある。
実在のプロレスラーをモデルにしたラトルマンや魅力的な登場人物たちがきみといっしょに旅を彩ってくれる。
この本を読めば、日本にいながらにしてのメキシコのもっとも奥深い「夢見る大地」を旅できるのだ。
それはきみが鍵をなくしてしまった君自身の潜在意識への扉を開く旅でもある。
そこできみは「本当のきみ」と出会い、ソウルメイトの意味を知り、とてつもない喜びと感謝に号泣するだろう。
「ああ、もう終わっちゃうの~」と最後のページを閉じたとき、きみは新しい自分に生まれ変わっていることに気づくだろう。